コロナ禍の2020年から株式市場は好調が続いています。
指数連動型のインデックスを買っていれば、誰もが資産が増えていることでしょう。
とはいえ、リスク資産の株式を100%持つのは危険なので、債券や金を一定程度の割合で
保有している人も少なくないのではないでしょうか。
そういう私も、金をETFで保有しています。
毎月10日にSBI証券でコツコツと定期積み立てしております💦
そんな中、先週金曜に続けて昨日8/9(祝)にもまた金が下落しました。
一体何が起きているのでしょうか?
金現物はニューヨーク時間9日午前、1.2%安。
アジア時間には一時4.1%下げました。
8/10(火)朝のBloomberg記事より、理由をまとめます。
「flash crash(英語)」日本語だと「瞬間暴落」と訳される。
株式や為替市場が瞬間的に急落する現象を指します。
現在の取引では、ファンドなどの大口が自動的に売買を判断するコンピュータを導入
しているため、数時間さらには数分という単位で大量の取引が自動的に行われること
がその要因だといわれています。
相場の急激な値動きの原因は、
- 『アルゴリズム取引』
- 『高頻度取引』
にあるようです。
そもそも、今回の金相場下落は、インフレ調整後の米国債利回りが急上昇した
ことによって引き起こされました。
債券の利回りが上昇するということは、金利の付かない金を保有するのをやめて、
債券へ資金が流れることを意味します。
金相場はここから下落基調に向かうのでしょうか。
注目すべきは、下記の5つです。
- 実質金利の上昇
- 米ドルの回復(=ドル高)
- 一過性のインフレ
- テクニカル的なサイン
- アジア経済の回復遅れ
こうした5つの理由が金が今後も弱いと予想され
る理由です。
一つ一つ見てみます。
金は、米国債の利回りに左右される性質を持っています。
力強い経済指標を受けて実質金利が一段と上昇すれば、今後も急落する
可能性が高いと考えられます。米国10年債の利回りと逆の動きをすると考える
と今後は、低調が予想されます。
赤が金価格、黒が10年債の利回りです。
金が昨年、2020年に暴騰し、強いパフォーマンスを示す原動力となったのは、
ドル安が長期間続いたことでした。
102円台になることもあり、「2021年は円高ドル安、100円を割り込む」という
専門家、インフルエンサーの発言が見受けられました。
しかし今年に入って、一転して110円/ドル近辺をウロウロしており、予想とは
逆転しています。ドル安、つまりドルの価値が下がれは、そのリスクヘッジと
して金に資金が流れるのですが、このドル高が金への圧力となっていると考え
られます。ドル安に動かない限り、金は上昇できないと言えそうです。
今年、2021年になって米国では、インフレが徐々に顕著になっていましたが、
「インフレは一過性だ」との見方を市場は織り込みつつあるようです。
このことは、現在の物価上昇が不健全なものではなく統制の範囲内であり、
許容の範囲内ということです。インフレは、通貨の価値が下がることを意味
します。逆にインフレに強い、価値の上がる資産は、金や株式などです。
本来であれば、インフレで金は値上がりするはずですが、一時的な上昇だと
市場が判断しているため、金にとってプラス材料となっていないようです。
ここが経済の理論と実態の違いであり、私たち素人にはわからないところです。
そして、経済が生き物であり、面白いところでもあります。
9日の取引では、ヘッド・アンド・ショルダー(週間ベース)と呼ばれる相場パターン
のネックライン(両ショルダーの下の谷を結んだ線)を割り込みました。
弱気派を中期的に勇気付けるチャート上の節目となります。
今週の相場がネックラインを上回って終わらなければ、テクニカル分析上は、
相場の見通しは暗いままと予想されます。
これは、チャート分析からの判断です。
金は、コモディティとして取引される以外では、宝飾品や工業用途があります。
特に、他の貴金属と違うのが、宝飾品として中国やインドでの需要がかなり高い
ことが特徴です。実際、毎年旧正月には中華圏で金を贈ったり、購入するための
需要が増すこともあり、金相場はやや上がっています。
現在、コロナ変異種で苦しむインドのような主要市場での宝飾品需要が復活すれ
ば、金の上昇が見込めます。宝飾品業者は通常、押し目買い狙いなので金相場を
高値に押し上げることはないともみられますが、相場の下支えとなるはずです。
今年いっぱいはまだ、金の宝飾品としての需要が高まることは望めないので、
インド経済の復活が待ち遠しい限りです。